玄人向きの英ポンドは、通称【悪魔の通貨】と言われています。
なぜ恐い呼び方をされているのか、それは中央銀行に当たるBOEの存在にあります。EU離脱の国民投票以来、先行きが不透明なポンドはこの先どのように動いていくのでしょうか?
初心者には少々敷居が高いですが、取引手法についてもアドバイスしています。また実際に手を出さなくても、ドルや円に対して大きな影響を与えるので、学んでおくだけの価値はあります。
目次
ポンドの特徴!新興国通貨と真逆な関係
まず(ポンドを自国通貨として持つ)イギリス市場についてですが、市場参加者がアメリカ市場よりも多いことが挙げられます。
市場参加者が多いということは、それだけ活発に取引がされていますので、ポンドに対しても同じことが言えます。
つまりポンドの特徴は、イギリス市場に多くの市場参加者が集まることから、変動幅が大きいことにあります。
通貨にはさまざまな種類・特徴がありますが、ポンドは新興国通貨と対称関係にあります。
- ポンドは、為替差益を狙うキャピタルゲイン
- 新興国通貨は、スワップポイントを狙うインカムゲイン
と投資をする前から目的を明確にすることが大切です。
Brexit(ブレグジット)でポンド大暴落!しかし山場はこれから
2016年6月、イギリスでEU離脱(Brexit)を巡る国民投票で、賛成が半数を超えたことから為替は大暴落しました。
また4ヶ月後には、メイ首相がEU離脱に対して強硬な姿勢を見せたことからさらに落ち込みました。
わずか数分の間にポンド/ドルは2,000pips、ポンド/円は1,000pipsも値下がる場面がありました。
ポンドがいかに変動幅の大きい通貨であるのかを改めて思い知らされた出来事です。しかし今回の国民投票で正式にEUが離脱をしたわけではありません。
あくまで国民の意見を聞いただけですので、今後EU理事会からの承認が必要となりますし、一番の山場だと言えます。
イギリスはこれまで、EUに対して多額の補助金をだしていましたし、その反発が今回の国民投票の結果に繋がっています。
大きな資金源をなくすというのは、EUにとっては痛手でとなりますので、時間をかけて協議されています(2017年2月時点)。
短期売買が基本だが、長期で持つのも面白い
非常時だけでなく日頃から変動幅が大きいポンドは、短期売買に向いており、含み益•含み損に関わらずある一定の時間が経ったら決済するのが基本です。
一般的に
- 高金利で変動幅が小さい→長期売買
- 低金利で変動幅が大きい→短期売買
に向いていると言われています。理由は長く保有するためにはリスクを抑え、ロスカットを回避する必要があるからです。
そして
- 金利差益目的での保有→低リスク・低リターン
- 為替差益目的での保有→高リスク・高リターン
だからです。 しかしリスク・リターンの調整は、通貨そのものの特徴よりも、レバレッジ・投資額を重視することが何よりも大事です。
EU離脱で急暴落したこのタイミングを利用して、ポンド/ドルもしくはポンド/円を長期保有するのも一つの手なのです。
またポンドは、スワップポイントがドル/円やユーロ/ドルと同じ水準にあります。
かつては高金利でしたので、正式にEU離脱をして本格始動すれば、リスクムードが収まって回復する可能性があります。
【ポンド=短期売買】という固定概念を疑ってみると、また面白い見方をすることができます。
BOEがポンドを【悪魔の通貨】にした!?
イギリスの中央銀行に当たるのがBOE(Bank of England:イングランド銀行)で、長い歴史を持っています。
1649年に創設されていることから経験と実績が豊富で、BOEで発表される内容はポンドだけでなく、為替全体にも影響を与えます。
最近(2017年2月時点)の動向でいうと、EU離脱の国民投票の後に政策金利を0.5%から0.25%に下げていることが挙げられます。
そしてBOEの政策金利は、為替レートと連動した動きを見せるのが特徴的です。
つまり
ポンド安なれば政策金利も下がる
ポンド高になれば政策金利も上がる
また影響力が大きいことから、
政策金利が下がればポンド安になる
政策金利が上がればポンド高になる
と反対のことも起こります。このように為替レートを自由に操れるBOEの存在が、ポンドを【悪魔の通貨】と位置づけた理由なのです。
ポンドまとめ
BOEの存在が大きく流動性も高いことから、【ファンダメンタルズ分析】が重視されるのがポンドの特徴です。
また長期で保有する際は、レバレッジ・投資額ともに小さくすることで、リスクも小さくすることができます。
好き嫌いがハッキリ分かれる通貨ではありますが、FX全体に影響を与えています。ポンドの動向を意識することで、相場全体の流れ・ムードが見えてきます。